理想的なミニライフ
本屋に立ち寄って、適当に雑誌や週刊誌をパラパラとめくってみると、そこにミニの記事でも発見しようものなら、ツイツイ買ってしまうミニ愛好家のサガ。
ミニという小さなクルマを日々愛好しているミニフリークは、それ自体を愛することが目的だと思っているのでは、というフシが見え隠れする。
そんなミニフリークでも、カントリーマンの牧歌的な姿を眺めていると、愛情以外の何かがあることを気付かされるのだという。
このクルマの無色透明の窓を透かして、素朴で懐かしいイギリスのカントリーサイドを思い描いているのかもしれない。
今もなお、実用的で便利なカントリーマンは、ミニフリークがこれから歩んでいくべき理想的なライフスタイルを与えてくれるのではないかと、垂涎の的となり、いつかは手に入れたい理想のミニとして存在し続けるのではないだろうか。
木枠からにじみ出る、素朴なカントリーサイドへの憧れ
カントリーマンやトラベラーを眺めていると、甘い妄想に駆られてしまう。
長物と呼ばれるそのミニの象徴的な木枠は、深遠なカントリーフィールドへと導いてくれるような気がしてくる。
ウィークエンドが来たら趣味のよいアイテムを詰め込み、大自然の美しい景色と新鮮な空気を求めて、気の合う仲間を誘って、そしてまだほの暗い早朝に、空気の淀んだ都会の喧騒から脱出するのだ。
ファミリーユースとしてのミニ
バンとしての応用
ミニのデビューからわずか5ヶ月後にコマーシャルモデルとしてロングボディーのミニバンが登場した。
1959年12月に、バンを乗用にした窓付きのオースチン・カントリーマンとモーリス・トラベラーが豪華仕様としてラインナップに加わり、驚くべき早さでバリエーションモデルをラインアップしたミニは、勢いを衰えさせることなく、その4ヶ月後にエステートモデルであるオースチン・セブン(ミニ)カントリーマンとモーリス・ミニ・トラベラーを発表した。
大衆車として、これらのボディーバリエーションが必須だったミニは、1960年10月には、よりRV的な風情をまとったウッドトリムを装着したモデルを発売し、その人気を不動のものとした。
FFエンジンであるため、シャーシーのフロント側を使い回せば、後半は自由なレイアウトが可能になる。ボディー構成に、そうした応用力を持たせてしまうところに、大衆車としてのミニのしたたかさがあるといえるだろう。
69年、従来型ミニと並行して次世代モデルと目されるクラブマンシリーズを発売。
同時にカントリーマンとトラベラーは消滅し、より豪華仕様のクラブマン・エステートとして一本化された。
英国風には、このような豪華モデルはエステートモデルと呼ばれて、その生産は80年まで続いた。
しかし、皮肉なことにその11年後、残ったのはより現代的なマスクのクラブマンではなく、クラシカルなオリジナルミニのほうだった。
AUSTIN MINI COUNTRYMAN オースチン・ミニ・カントリーマン
ミニのエステート版としてオースチンからミニ・カントリーマンが登場!
オールスチールのボディーには、アクセントとして平らなルーフに溝が入れられた波型の形状が特徴的だった。この凹凸のルーフは、ミニシリーズのエステートとしては最終型になるクラブマンエステートまで流用されている。
MORRIS MINI TRAVELLER モーリス・ミニ・トラベラー
オースチン版から1か月遅れて登場したモーリス版には、旅人という名前がつけられ、ウッドトリムと呼ばれる木枠を用いたボディー装飾が施された。
モーリス・ミニ・マイナーの兄にあたるモーリス・マイナー・トラベラーという車にも同じ手法が見られ、エステートやワゴンと呼ばれるこの手のモデルが、元々は木製の幌馬車から発展したことの名残ともいえる装飾であった。
カントリーマンとの違いは、木枠の有無だけだった。
’61年の幕開けは4月のピックアップAU4参入で始まった。5月にはアルミキャスト製サスを備えたトランペットを加え、8月にはラジエターファンの羽数力q6枚の低ノイズ型となる。
いつかは、「長物!」
ミニフリークの間でよく耳にする言葉だ。
どこかで聞いたようなセリフだが、カントリーマンやトラベラーは
それだけ憧れの的だということかもしれない。
OMC@IVY